コミュニティデザイナーの山崎亮さんと西上ありささんをTheWave塾にお招きしてお話を聞いて思ったんだけど、21世紀の世界に日本が提供できる価値の1つは、新しい田舎暮らしのあり方を世界に先駆けて完成させ提示していくことにあるんじゃないかと思った。


ソーラーパネルを使うことで村全体に必要なエネルギーを提供したり、島全体に張り巡らされたセンサー網で交通事故ゼロの電気自動車システムを稼働させたり・・・。夢みたいな話かもしれないれど、技術は既に存在するし、技術的には今日でも十分に実現可能。今はコストが見合わないようなシステムでも、テクノロジーの進化でコストが急速に低下し続けるのは間違いないし、いずれは十分なコストパフォマンスを出せるようになった時点で採用すればいいのだと思う。


あとは、その先行する技術をどう現実社会に採用し当てはめていくか。プライバシーの問題もあるだろうし、技術リテラシーの問題もある。そうした問題をどうクリアしていくべきか。


未来を見通せる首長が一気に牽引するというやり方があるかもしれない。反対にワークショップを重ね時間をかけて合意形成しながら変革していくという方法もある。前者の例は、佐賀県武雄市の樋渡市長だし、後者のやり方は山崎さんたちが得意するところだ。どちらも一長一短。首長主導の先行事例を見て、後者のやり方で改良を加えて広めていくというやり方も可能だ。ちょうどiPhoneとAndroidの関係に似ているかもしれない。どちらの形も必要だと思う。どちらの形を取るにせよ、その過程で蓄積するノウハウこそが、日本が世界に「輸出」できる新しい形の「富」になるのではないかと思う。そしてそうした試行錯誤ができるのは、国や大都市ではない。地方都市や田舎だと思う。


日本の活路は、テックx田舎にあるのだと思う。


ただ企業を誘致することだけでも、ショッピングモールを誘致するだけでも、地域は活性化しない。やはり一番大事なのは人だと思う。クリエイティブクラス、ナレッジワーカーと呼ばれるような人たちを惹きつけ、もともとその地域に住んでいる人たちとうまく融合しながら、新しい街のあり方を模索していくことが、その地域の活性化に最も重要なんだと思う。


これからの地方都市を特色づけるのは、「人」「名産品、環境」「ニーズ」のどれか。一人のキーパーソンが移住してくるだけで、特色ある街ができることがある。トランジスタの発明者の一人ウィリアム・ショックレーが、カリフォルニア州の田園地帯に移住しショックレー半導体研究所を設立したことがきっかけで、シリコンバレーが世界のテクノロジーの中心になったのは有名な話だ。


「ニーズ」もその土地の特色になる。その土地が抱える問題を、テクノロジーを使いこなせるクリエイティブな人たちが移住してくることで、住民全員で解決できるようになれば、その解決方法がその土地の特色になる。いったんその土地がその問題の解決方法で有名になれば、ネットで世界中とつながる時代だからこそ、世界からより多くの意見やアイデアが寄せられ、視察がくるようになる。その土地はその「ニーズ」のメッカとして、世界的な尊敬を集めるようになるだろう。


世界が産業社会の次の段階へと移行する中で、いずれ経済指標とは異なる指標で国の「本当の豊かさ」を測る時代になるだろう。そうなったときにテックな田舎が牽引する日本が「本当の豊かさ」先進国になっていれば、どれだけすばらしいだろう。


そんなすばらしい未来に向けての活動を加速していきたいと思う。