神戸・横浜で医療系人材サービスの会社を経営している43歳です。突然ですが、わたしは中卒です。

 

 実際には高校は2ヶ月だけ行きました。高校は普通科で、わたし自身も普通の学生でした。ただ何に対してもやる気がなく、宿題さえもやっていきませんでした。いじめられっ子で、学校のなにもかもがおもしろくなかったのだと思います。

 

 教師からは「学校を辞めろ」と言われる始末。そしてわたしはその言葉を真に受け、本当に学校を辞めてしまったのです(今考えると、教師の方もがんばれ!という意味で言ったのだと思います)。

 

 当然親は大反対されましたが、頑として譲りませんでした。当時の私は、現実から逃げたかったのだと思います。一方で、自分には何かできる力がある、なんとかなる、という根拠のない自信もありました。

 

 事実、なんとかなりました。月に生活費が2万円あれば生きていけました。

 

 飲食店を中心にアルバイトをしました。フリーター仲間と、麻雀したり、パチンコしたり、毎日を楽しく暮らしていました。

 

 そんなわたしにも転機が訪れました。21歳のときに先輩の結婚式でスピーチを頼まれ、どんなことを話すべきか親に相談したのですが、親のアドバイスを書きだしたメモを見返すと、ほとんどすべてひらがなだったんです。漢字が書けない自分がいました。これはショックでした。

高校を辞めたときは大検(現、高等学校卒業程度認定試験)を取って大学には行こうと思ってましたが、21歳までほとんど勉強をしませんでしたので、当たり前の結果なのですが、さすがにこれではまずいだろうと、同級生が就職活動をしている時期に、中学1年生の勉強から始めました。

 

 勉強をする中で少しずつ社会の仕組みが分かるようになると、法律に興味が出て来ました。弁護士になろう、そう思いました。それまで自分自身を「世の中のくず」と思うこともありましたし、「高校中退」と後ろ指を刺されていると感じたこともありました。弁護士になることで、一発逆転できるのではないか、とも思いました。それから通信大学に行き勉強に励みました。

 

震災が背中を押してくれた

 

 ところが夢半ばの24歳の時に、阪神淡路大震災がわたしの住んでいた地域を襲いました。実家が全壊しました。もはや猶予はありませんでした。もう自分のことだけ考えているわけにはいきません。家族の一員として、自分もしっかりと働かないといけないと思いました。

 

 それで履歴書をいろいろな会社に送りました。ありとあらゆる会社に送りました。当然、中卒のわたしに仕事をくれる会社はありませんでした。大学生に負けない勉強はしてきたつもりでした。それでも卒業証書という紙切れ一枚がないという理由だけで、どこも雇ってくれませんでした。

 

 もうこれで諦めようと思った最後の1社、リクルート・フロムエーから、なんと採用通知が来ました。採用枠はアルバイトとしての採用でしたが、仕事の内容は社員とほぼ同じでした。求人広告の営業職として働きました。アルバイト職ということもあり、当初は1年で辞めるつもりでいましたが、働く以上、結果は出さなければと思い、徹底して仕事に打ち込みました。すると、業績が認められて1年弱で社員に登用され、5年後には31歳でグループリーダー(営業所長みないなもの)になっていました。同年代の新卒者と比べても、出世のスピードはかなり速いほうでした。

 

 営業のコツは、顧客のニーズを先回りして予測することにあるのだと思います。企業にはそれぞれの求人のタイミングがあります。そのタイミングを予測し、計画を立ててアプローチしていく、というやり方が、わたしの場合は功を奏しました。

 

 またわたしの中卒という、普通ならマイナスの過去が、営業トークの中では武器になりました。わたしの経歴を言えば、ほとんどのお客はびっくりし、わたしをかわいがってくれました。普通に勉強して普通に大学へ行くより、少々変わった経歴のほうが、社会に出たあとは何かと得なのだということを実感しました。

 

 34歳でリクルートHRマーケティングを「卒業」し、営業コンサルタントとして独立しました。まずは変わった経歴を生かして、本の執筆に取り組みました。変わった経歴というのはありがたいもので、出版社の目にもとまり、無事出版することもでき、「営業は5分で決まる」という本と「なぜリクルートは強い人材を輩出できるのか」という2冊の本を出すことになりました。

 

 これらの本のおかげで、営業コンサルティングの仕事の要請が寄せられるようになり、「先生」と呼ばれ、営業コンサルティングや講演なども行いました。でも私は一人で仕事をするより仲間と一緒に仕事をしているときが楽しいと感じ、コンサルティング業は辞めようと決めて、現在の医療系の人材サービスを立ち上げるに至ります。

 

根拠ない自信と自己嫌悪の振り子から抜けだそう

 

 考えてみると10代から20代のころのわたしの心は、振り子のようでした。「自分はいつかビッグになれる」という根拠のない自信と、「自分は世の中のくずだ」という自己嫌悪の間を行ったり来たりしていたのだと思います。この振り子の感情のために、一歩踏み出せない自分がいました。踏み出さないでいる限り「いずれは」という気持ちが自分のセルフイメージを保ってくれますが、踏み出して結果を出せなければ、本当に自分は世の中のくずになってしまう。そういう恐れがあったのだと思います。でも案ずるより生むむが易し。まずは一歩踏み出してみてください。一歩踏み出しさえすれば、二歩目はずいぶんと楽になります。何十社か何百社かは分からないけど、どこかが必ず拾ってくれるはず。めげずにアプローチすることが大事なんじゃないかと思います。

 

 学生さんの多くは、最初の入り口にどのような環境に身を置くかがとても重要と考えているように思えます。確かに、その考えは間違っていないと思います。どのような会社に入るかによって、環境は大きく異なります。しかし、素晴らしい会社に入ったからと言って、その人が未来永劫素晴らしいかというとそうではないと思います。結果を出さない人も多いです。結果を出し活躍している人は、みな勉強し、自分を向上させることに貪欲だと思います。

一方、良い環境に入れなかった人が未来永劫ダメなのかというとそうではないと思います。わたしのように中卒、フリーターから、会社経営者になることも可能なわけです。就職活動における入口は大切であるということは否定しません。でも大事なのはやはりその後ではないでしょうか。

 では会社はどのような人材を求めているのでしょう。企業の求める人材は共通しているのではないかと思います。私の会社でも内定を出す人間は、他の会社でも内定が出ます。そういう人たちに持つ要素は

・ロジカルな思考の持ち主

・問題意識を持ち、それに対し自分なりの意見を持っている

・自分のことをある程度、客観視できている

・好奇心旺盛

・自主性がある

などがあり

・直近でそれなりの結果を持っている

事だと思います。

 また会社のステージや・状況・規模によって求める採用基準は変わります。

あくまでも傾向としてですが、ベンチャーでは、リスクも共存しますので、そのリスクも理解し、この会社を大きくするんだという意欲のある方が求められます。一方、大きな会社においては、その時に必要とされる専門的な能力を持った方、またはスペシャリストになれる可能性をもった方が求められる傾向があります。

 あくまでも傾向としたのは、世界やマーケットの変化、会社の状況のによって、1社1社異なる背景があります。

そのような会社の背景を踏まえた上で応募すると、経営者は関心を示してくるのだと思います。

 

 では反対にどのような会社に入るべきか。ビジネスの全体像を学びたければ、小規模でやっている会社に行くべきかと思います。デメリットは会社の基盤が弱いので、不安はあると思います。

 

 スペシャリストになるのであれば、大手がお勧めです。優秀な人材が多く学べる環境は用意されています。しかし、ビジネスの全体像は学びにくいと思います。

どう選ぶかは、あなた次第かと思いますが、私は両者を経験し思うこととして、どのような環境に行ったとしても、勉強をし続けること、自分より優秀な人から学ぶこと(優秀な人から学ぶというのは、自分より年下の方であったとしても、素直に認め学びとること)、また、自分にない能力を持った人の話を聞くことが、今後のあなたを導いてくれると思います。