TheWave湯川塾17期「クールジャパンの本質をつかめ!事業推進者養成講座・インバウンド編」の全カリキュラムを終えました。講師になってくださったのは、クールジャパン関連ではトップクラス、今、アチラコチラのクールジャパン関連イベントで引っ張りダコ状態の方々ばかりでした。

いろいろな気付きがありました。

(1)日本文化に対する期待が世界中で高まっていること。日本が十分にそれに応えていないこと。例えばミラノで盆栽ブームが起こっているのに、日本の盆栽関連企業でミラノ業者を訪ねた社は1社もなかったといいます。

(2)日本からの情報発信が少ないので、海外の日本ファンが自分たちの擬似日本文化を発信していること。

(3)北欧デザインの巨匠たちは、日本の工芸品からインスピレーションを得ていたこと。

(4)文化の高い国では、クールジャパンはかわいい、オタクを経過して、より日本文化の本質部分に迫りつつあること。

(5) 韓国政府主導で進めてきているクールコリアが一部地域で失速気味。「コリア疲れ」が出て、日本の文化、精神性に期待がもてる。などなどです。

この期の塾を通じて僕が受け取った最大の学びは、「これは一過性のブームではなく、世界は脱産業社会化が進んでいて、新しい時代のロールモデルを日本の文化、精神性に求めている」ということです。以前にそうひらめいたので今期の塾を企画したわけですが、講師、塾生のみなさんと議論することで、そのひらめきが確信に変わりました。

「21世紀は日本文化主導の時代になる」と言っても過言ではないと思います。

ITが関連しないとクールジャパンはパワー半減

ただし日本の物・サービスをそのまま海外に持っていっても、飛ぶように売れるわけではありません。いいものは、中国企業などにすぐに真似されてしまい、あっという間に価格競争になってしまいます。

なので、モノやサービスに物語をつけ、プレミアム感をつけて、ソーシャルで売っていくという方法がいいのだと思います。この物語をつけて、ソーシャルで売る、という発想が一般企業に欠如しているのだと思います。これが現在のクールジャパン施策の決定的な問題点だと思いました。政府からの補助金を目待てに多くの事業会社が躍起になっていますが、IT業界が動いていないことが問題だと思います。「おれたちは補助金なんかに頼らない。自分たちで産業を作る」という独立独歩の姿勢は評価に値しますが、日本の文化・精神性が世界をリードしていこうという中でIT業界が貢献できる部分が数多くあるのではないかと思ってしまいます。

今回の塾も受講してくれたのがIT関連企業の経営者や幹部が中心でしたから、受講生から見れば「やりようは幾らでもある」という意見が続出しました。「写真や動画素材を開放して世界のユーザーが日本文化に関連する動画を自由に作成し、YouTubeにアップできるようにすればどうか」「情報発信のパイロットサイトを作ってABテストを繰り返し、どの地域のユーザーがどの情報に反応するのかといったデータを取得し、特定の国、地域に向けた情報を電子書籍として発売してはどうか」などなど、さすがはIT業界関係者というようなアイデアがたくさん出ました。

カリキュラムの中盤で、在日外国人の方3人をゲストに迎えてグループディスカッションを行いました。外国人xIT関係者という組み合わせが、絶妙のシナジーを生み、アイデアは無数といえるくらい次々と飛び出しました。そのうちの一部は、事業化に向けて動き出しています。

17期2

日本の文化、精神性を核にした海外向け事業は、これからが本番だと思います。しばらくはこの領域に注目し続けようと思います。まずは電子書籍です。今まで電子書籍元年と何度も言われましたが、本当に花が開くのはスマートフォンが普及し終えるときです。そのときを見据えて、今こそ本格稼働するときだと思います。TheWave湯川塾18期電子書籍編は、まもなく開講です