新型iPadが10月21日に発表になるという憶測が飛び始めた。今回の発表では、市販の2モデルよりも大きいiPad Proとでも呼ぶべき製品が発表されるかどうかが注目されている。しかし個人的には大きさがどうであれ、電子決済機能「Apple Pay」のリーダー(データ読み取り)機能が搭載されて、店頭のレジとしての利用を促進してくるのかどうかが気になっている。

iPhone6から搭載されたApple Payは、それに対応したリーダーが店舗側に設置されなければ使い道がない。なので特に日本ではしばらくは普及しないと見られているが、もしiPadにリーダーが搭載されれば、予想以上に早く日本でも普及するかもしれない。


▶特許は早くから出ていた

もちろんこれは僕の憶測でしかないのだが、まったく根拠がない話でもない。というのは、Appleはヨーロッパの特許当局に対して、電子デバイスの画面を電子タグのリーダーにするという特許を申請済だからだ。

Apple関連の特許を追い続けている米メディアPatently Appleによると、当局がAppleの申請を公開したのは2010年。なので、申請自体はそれ以前ということになる。2010年のiPad発売前に特許申請を準備していたからか、書類の中にはタブレットやiPadという表記はない。代わりに携帯電話(iPhone)や音楽プレーヤー(iPod)の画面部分にアンテナを配置し、電子タグを近づけることでデータを読み取れるようにする技術的な方法が記載されている。


▶iPad Proは来年から生産開始?

iPad Pro自体に関する情報はあまりない。KGI証券のアナリストが今年4月に、Appleは12.9インチの大型iPadの開発を進めていると報告している。ただ発売時期は2015年以降になるという。Bloomberg通信も8月27日付けで、同じく12.9インチのiPadの生産は2015年第1・四半期になるという情報を伝えている。

そもそもAppleはなぜ大きなサイズのiPadを発売しようとしているのだろうか。言うまでもなく法人向けの市場を狙ってのことだろう。

今年の4月にAppleとIBMは業務提携を発表した。両社がスクラムを組んでiPhoneやiPadを法人向けに販売していくのだという。IBMはiPhoneやiPadの法人向け販売やサポートを手がけ、両社は、小売、ヘルスケア、金融、運輸、保健など、各業界に特化した約100個の企業向けアプリケーションを共同で開発中だとしている。

こうした背景を考えれば、Appleが具体的にどのような技術で実現するかは別にして、iPadを店頭のレジ端末と位置づけて、Apple Payのリーダー機能を搭載してきても不思議はない。というより、そうすることが自然な流れのように思える。

2、3年前のことだ。友人の店舗経営者にiPadがレジとして使われるようにならないのか聞いたことがある。「既存プレーヤーの力が強すぎて難しいと思いますよ」というのが、その友人の意見だった。果たしてIBMという強力なスケットを得たAppleは、小売業界にイノベーションを起こせるのだろうか。




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