電子書籍「人工知能、ロボット、人の心。」が発売になりました。2014年11月ごろからの取材メモやTheWave湯川塾の講義メモを集めた内容になっています。一番新しい情報は1月中旬に行った株式会社プリファードネットワークス西川徹氏のインタビュー。スマホ+クラウドの時代から、IoT+人工知能の時代への移行を感じてもらえる内容になっているのではないかと思います。

この本は1月21日発売で、4月21日には販売を終了するつもりです。期間限定の電子書籍です。なぜ3ヶ月限定で販売するのか。いろいろな人から聞かれるので、その理由をここに書いておきたいと思います。

僕は主にテクノロジーが産業や社会に与える影響について本を書いています。一番最初に書いた「ネットは新聞を殺すのか」という本の発売から、もう10年以上の月日がたちました。この10年間で情報の「賞味期限」が短くなってきているのを実感します。それだけテクノロジーをベースにした産業の変化の速度が増してきているのだと思います。最後にテクノロジーだけをテーマに本を書いたのが2007年。「爆発するソーシャルメディア」「次世代マーケティングプラットフォーム」などという本です。「ソーシャルメディア」は一般名詞としてビジネスマンの間でフツーに使われるようになりましたが、本の中にはFacebookもLINEも出てきません。「次世代マーケティングプラットフォーム」とは膨大なデータをベースにして消費者に最適の情報や商品を提示するような仕組みを指す概念です。今日ではその概念は多くのビジネスマンの常識となっていますが、その概念は「マーケティングプラットフォーム」という言葉ではなく、「ビッグデータ」という言葉で呼ばれています。

テクノロジーの話を本にしても、半年から1年で内容がすぐに陳腐化してしまう。それが悩みになりました。「湯川さんの本を買いましたよ」。知人から、1年以上も前に出した本を買ったことを告げられると、申し訳ない気持ちで一杯になりました。本を買ってくれた人に対して「時代はもう、その先に進んだんですよ」とは、言えませんでした。

なので2007年以降は、本を出す頻度が下がりました。出したのは英語学習の本、コミュニティーをテーマにした本、スピリチュアリティをテーマにした本など。テクノロジーを絡めながらも、もう少し普遍的な内容を前面に出した内容のものばかりでした。

一方で、賞味期限は短いものの、テクノロジーに関するワクワクする話はいっぱいあります。僕と僕の仲間たちは、TheWave湯川塾という少人数勉強会を通じて、そのワクワク感を楽しんでいるのですが、それを少人数だけで楽しんでいることに対するちょっとした後ろめたさもあります。塾の内容をアーカイブし公開してほしいという要望も寄せられます。

でも本にはしたくない。

なので、期間限定の電子書籍にしようと思いついたわけです。

これなら賞味期限が切れた本を売ることに対する罪悪感もありません。普遍的なテーマが見つかるまで情報を温める必要もなく、おもしろいと思ったテーマをその都度、テンポよく出版できるのではないかと思いました。

ですので、今回発売になった「人工知能、ロボット、人の心」にも、本を通じて主張したい普遍的なメッセージなどありません。メッセージがあるとすれば、それはただ1つ。「時代がまた大きく変わろうとしているよ」ということにつきます。この時代変化の兆しを見て、読者お一人お一人が、それぞれのビジネスやキャリアについて再度、考えていただければと思います。

3ヶ月という期間の中で、この本の内容にメリットを感じる人の手元に、この本が届きますように。

ご購入は、こちらから。

本の目次は次のような感じです。

■本書の内容 ―――――――――――――――――――――――――――

はじめに

第1章 人工知能の急速な進化が引き起こすビジネスチャンス
 人工知能が急に進化し始めた!
 50年来のブレークスルー
 これから人工知能が仕事を奪う業種
 宇宙の謎は人工知能が解く
 まずは産業的価値のある業種から変化
 ロボットは進化するとウソをつくようになる?
 無意識の領域を再現できた
 コストさえかければ自動翻訳は完璧になる
 ドワンゴ人工知能研究所 山川宏所長
 脳を模したソフトと脳を模したハードの合体で、人工知能はさらに進化する
 人工知能の進化は人間の脳の進化?脳にチップを埋める必要なし
 IoTx人工知能で、人間の脳の限界を超える
クラウド(雲)からフォグ(霧)へ
 Fog Computingが開くIT新時代

第2章 協働型ロボットの今
 ロボット台頭の背景に労働者不足
 飲食店向けロボットは実現するのか
 ロボットはすべての仕事を奪うのか
 急展開する業界状況

第3章 ソフトバンクのPepper
 破格の価格でPepperを売る理由「目指すはクラウドAI」
 これだけ違うPepperとこれまでのロボット
 変化に直面したときの典型的な企業の対応【携帯電話業界編】

第4章 Watson
 今後10年で人工知能は劇的に進化する データが爆発する領域を狙え
 これまでにないものを発見する

第5章 大阪大学石黒浩教授
 人間に似ていなくても姿を補完する想像力が人にはある
 人間に「心」はない?あるのは複雑なシステムの行動原理

第6章 匿名仮想座談会
 Deep Learningの価値とは
 これからの仕事について
 人間はロボットに征服されるのか
 ロボットは自分で学習できるようになるのか
 ロボットが奪う仕事、奪わない仕事

おわりに


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蛇足:一昨年に電子書籍を出したとき「読みたいけど、キンドル持ってないので」という人が相当数いたけど、今回はそういう反応が今のところない。「紙の本にしてくれたら買うけど」という人もいなくなった。スマホで電子書籍を読むということが、かなり一般的になったんだろうな。少なくともテクノロジーに興味のある人の間では。