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弓、天秤、波動拳!?クリエイターが事業度外視で作りたいものを作ったらこうなった!!

リクルートホールディングが主催する日本最大級のWebアプリ開発コンテスト「Mashup Awards」が今年も開催されました。2006年からはじまり、11回目となる今年は、8/20〜10/19までの61日間の応募期間中に431作品もの応募があり、その最優秀賞を決定する決勝戦イベント「MashupBattle Final Stage」が11月18日(水)に都内で開催されました。

MashupAwardsの審査基準は「アイデア|完成度|デザイン」の3つで、ビジネスモデルやマネタイズなどは評価の対象に入りません。「モノづくり自由型」というテーマで集まったMashupAwards11の決勝では、弓や天秤がでてきたり、ストリートファイター2の対戦がはじまったり、ベッドをSTAGEに広げゴロゴロするデモがはじまったりと、本当に自由な発想で作られた作品が発表されました。

好きなアーティストのライブに行った際、周りは知らない人なのに、妙な一体感と高揚感があったりしますよね。みんなが楽しい感情を表していて、プラスのエネルギーがその会場を包んでいるような。
この場にいるだけで、元気になれる、笑顔になれる。そんな決勝プレゼンでした。

そんな会場の雰囲気を伝えたく、当日撮影した動画を多く作品紹介に使っておりますので、是非ご覧いただければと思います。


■発表作品紹介

まずは上位3作品から紹介したいと思います。

<最優秀賞>
本物の弓を使ったスタンドアローンARゲームシステム
 
コンセプトは身体的没入感。ただし、ヘッドマウントディスプレイなどではなく、視界を遮らず、身体的なフィードバックをもっと大事にしています。1.モノ感 2.世界が周囲に広がっている 3.仮想の能力 = 現実の能力 という3つのコアコンセプトを大事に考えたとのこと。
本物のアーチェリーの弓に、コンピュータ・バッテリー・プロジェクタ・センサーが入っており、全方位対応のARシステムとなっています。弦を引いて矢を放つ動作をすると、仮想世界に対して矢が飛んでいきます。弦を引いた強さによって、矢の飛んでいく強さが変わり、実際の弓を扱っているのと同じ感触でゲームをプレイできます。また、弓の傾き(構え方)によって炎の矢やラピッドショットなども打つことが出来ます。 これ1台で360度の周囲全てをAR空間とすることが可能になります。
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<2位>
CliMix [クライミックス] (優秀賞受賞作品)
漫画の各シーンの雰囲気に合わせて最適な曲を流す電子書籍アプリ
 
漫画に新しい体験をもたらすアプリ。電子書籍での購読時に、その漫画にマッチしたBGMを自動で再生し、読書体験をもっと盛り上げ、漫画への没入感を高めます。
BGM再生の仕組みは、漫画の書籍情報APIを使ってジャンルを検索。 GracenoteAPIからジャンルに応じた曲を取得し、Spotifyからインストルメンタル曲を取得し漫画にあったBGMを流します。クライマックスシーンの判定は、コマの中のセリフや人間の大きさなど複合的に判断し、スコアリング。クライマックスが来るタイミングに楽曲のサビが流れるように1頁をめくる時間を逆算してタイミングを調整しています。
漫画と音楽の融合がどのようにされているか、動画でお楽しみください。




<3位>
なりきり2.0(2ndSTAGE敗者復活作品)
身振り手振りで魔法のようにものを操ったり、ゲームのキャラクターになりきることが出来る作品
 
ヒーローみたいに「なりきる」ことを具現化するために、センサ、認識技術、WebAPIをMashupしたガジェット作品。例えば腕の動きだけで電気がついたり、TVのチャンネルがかわったり、手から稲妻をだしたりなど。
腕時計のような形のウェアラブルデバイスを手足に装着することで、モーションをリアルタイム検出。 機械学習を併用し、多用な動きを認識可能にしています。 動きはWebAPIを利用しながらも、独自プラグインも開発し、外部機器とのやり取りをhttp通信で実現。
デモで行なったリアルストリート・ファイター2では、ゲーム機のコントローラー基盤をHackし、mbedでスマホと有線接続させてドコモデバイスコネクトAPI対応機器として動作させることで、仮想世界で手から稲妻をだす(波動拳をだす)ことを実現しています。審査員との対戦デモは会場を盛り上げました。




ビビビコントローラー(優秀賞受賞作品)
ときめきを物理化したウェアラブル(?)デバイス
 
使い方は簡単。コントローラを手に握って街に繰り出すだけ。可愛い子をみてときめきを感じ心拍数が上がると、viviviSYSTEMが反応。電気刺激を与え、思わず「アッ…アッ!アッー!」っと声をだしてしまうというもの。この声で振り向いてもらえ、「声をかけられなかった」ということがなくなり、出会いを演出します。つまり、電気刺激で心の叫びを強制的に言語化します。
仕組みは、心拍センサーを使って平均の心拍数を取り、心拍数が一定の値に上がると高圧電流が流れるようになっています。
作品の着想は松田聖子の「ビビビッときたんです」という言葉から得たもの。運命の人(?)にすれ違った時に感じるビビビッを電気のビビビッに置き換えたそうです。
審査員が「アッ…アッ!アッー!」と行ってしまっている動画はこちらから。



PoiPet(学生部門賞受賞作品)
ゴミ捨てや分別が楽しくなる、今までにないインタラクティブなゴミ箱
 
ペットボトルをきちんと分別して捨てると、喜びの表情をみせ、その日の天気を教えてくれるという、インタラクティブなゴミ箱。リアルタイムでゴミがどの程度溜まっているかの確認も可能です。
どこに何を捨てれば良いのかは、液晶案内だけでなく、ゴミ箱の入り口の形を、キャップ・ラベル・ボトルの形にし間違って捨てないように設計。また、ゴミが捨てられた履歴は日付ごとにロギングされ、専用アプリで確認が可能です。
ゴミ箱を捨てるとキャラクターが反応する仕組みには、photoreflectorを利用。
今後の予定として、NFC対応端末の普及が始まり次第、学生証とアプリを紐付けした個人用ゴミ捨て記録の実装や、天候や気温に応じた飲み物のレコメンドなどを予定しているとのことです。
ゴミ箱がお礼をいう様子は、動画にてご覧ください。




千葉市お祭りデータセンター(CIVICTECH部門賞受賞作品)
千葉市で、いつ、どこで、どんなお祭りが行われているのかを簡単に探すことのできるサービス
 
HOMEは今週開催される祭りの一覧を表示しており、自分の住んでいる地域の祭り、今日祭り、 週末の祭りの一覧に1クリックで切り替え可能。とにかく簡単に使えることを目指し、よくあるシチュエーションについては、1クリックで見れるように設計したとのこと。お祭りの詳細情報は、開催日、時刻、天気などの情報や、実施されているコンテンツ、過去に行われた写真などを表示しています。また、TypeSquareAPIを使用して、お祭り感をアップしたデザインにしています。
GitHubにて公開しているので、他の自治体でも活用可能です。データは、千葉市の職員の方から自治体に呼びかけてデータを集めたり、自分たちでも収集しているとのこと。祭りを探す動作デモはこちらから。




peta×peta(IoT部門賞受賞作品)
中敷型デバイスとスマートフォンを連動したIT頭脳戦おにごっこ
 
ルールは制限時間内に一番逃げた距離が多い人が勝ち!マイコンと感圧センサーを仕込んだインソールデバイスを靴に入れてプレイします。街中でプレイするこのゲームは専用アプリが存在し、走っている時のみ地図に表示されるので居場所がバレます。走っている状態は感圧センサーで感知。ポイントを稼ぐために走るか、ゆっくり歩いて自分の位置がバレないように逃げるかの駆け引きをおにごっこに導入しました。
鬼のタッチはBLEにより、接近するとタッチとなります。 鬼の間はポイントが入りません。 知らない人同士でプレイをすると、誰が鬼なのかわからなくて盛り上がります。
スポーツで楽しいのは「観戦」なので、実況のシステムも実装。みんなが今どこにいて、ポイントが入っていく様子などがリアルタイムで観戦可能です。テストデータになりますが、動作の実演動画です。




gの天秤(インタラクティブ・デザイン部門賞受賞作品)
人間の価値を図る言葉の重さを図る天秤

リアルタイムに取得される検索ヒット数1件を1グラムに置き換え、ことばの重みをフィジカルな天秤の傾きによって視覚化した作品。仕組みはProcessingで作成し、言葉をGoogleでリアルタイム検索、お皿の上に乗ったUSBディスプレイに言葉とヒット数を表示します。 天秤の動きはラックアンドピニオン構造という造りによって音がなく有機的なゆらめきを実現しました。
コンセプトは、人間の価値を測ることの出来る天秤で、 左右の皿にのったスマホには人を評価する言葉と数字が表示。言葉は「イケメン」「性格がいい」など様々。数字は語をグーグル検索したときのヒット数です。製作のきっかけは、吉野ヶ里遺跡。卑弥呼がリーダになった理由は、占いにより「天気」を当てることが出来たからで、リーダーの条件は時代によって変わることに気付いたとのこと。現代の情報の重みを測るのはGoogleであり、異なる価値観を一意に序列する現代の神がGoogleと定義づけ、この作品が作られました。こだわって創りだした天秤の「ゆらぎ」を動画でご覧ください。




Spectee(優秀賞受賞作品)
SNSに投稿された映像を人工知能エンジンで収集・解析して、リアルタイムに配信するサービス
 
災害が起こると、沢山の情報がSNSにあがってきますが、既存メディアのよって報道が行われるまで最速で90分ほどの時間がかかります。 そのため、情報を探している人はまずSNSを見るという実態があります。一方で、チリの津波が発生した際、12時間ほど立たないと正しい情報が得られなかったという、ネット検索の問題点もあります。
そこでSpecteeは24時間常にSNSを監視・収集し、人工知能エンジンで解析した情報を、様々なジャンルに分けて瞬時に届けています。また、Specteeからのプッシュ通知によるアプリ起動率は9割を超えるという実績もあります。動作デモはこちらの動画から。




寝返りブロックくずし(おばかアプリ部門賞受賞作品)
寝返りでプレイするブロック崩し

ベッドにシリコンキーボードを2枚敷き、キーボードのキーの位置に応じてブロック崩しのバーが移動するという寝ゲー。寝返りをうって体の位置が変わると、押下するキーが変わるのでバーの位置も変わります。
ゲーム部分はenchant.jsを利用してJavaScriptで、キーボードのキー取得は別PC(Raspberry Pi)で行っています。複数キーボードのキー押下を取得するために、libusbを使ってRubyプログラムでキー押下情報を取得し、node.jsのサーバを経由してsocket.ioでブラウザに渡しています。
ブロック崩しだけではなく、睡眠時のライフログを安価で高精度なデータをとりたかったという思いがあり、ゲームにすることによって、モチベーションにも繋がると熱弁。
実際にSTAGEにベッドをもちこみゴロゴロしている様子を動画にてお楽しみください。




PINCH(優秀賞受賞作品)
はさむ、かわかす、天気よむ。自動で洗濯物をはさむことができる洗濯バサミ
 
洗濯って面倒。それに一日帰らない日に雨が降ったりして困ったりもしますよね?
PINCHは、洗濯バサミにフォトリフレクタとサーボモータを取り付け、洗濯物を近づけると自動で開き、挟むと閉じる優れもの。また、カゴに超音波センサーを着け、かごを近づけると自動で洗濯物が離されるので、面倒な洗濯干しが楽になります。さらに、天気情報ともマッシュアップしており、天気に応じてハンガーの周りにあるカーテンを自動で開閉したり、ゲリラ豪雨があった時などには、スマホから取り込み指示を遠隔操作できます。 ハンカチを近づけると洗濯バサミが自動で挟むデモは動画でご覧ください、



モータ制御によりクローズ型とオープン型に変形可能なヘッドセット
 
クローズ型は没入できるけれど、外の音が聞こえない。オープン型は外の音も聞こえるけど、音漏れがする。ヘッドフォンに付属しているフタが、ボタンとスライドで開閉し、2つのいいところどりをしたヘッドセット。
タイマーを設定して、徐々に閉まってじわじわ没入するパターン、音楽のサビが来た時にだけさっと閉まるパターン、自分の名前が呼ばれたらオープンになるなどパターンは様々。聴きたくない番組をシャットアウトする放送局ブロック機能や、製品を3種類作るなど遊び心も入った作品です。
作品に関しては、こちらの動画をご覧いただけるとよりわかりやすいかと思います。




以上が、今回のMashupAwards11の決勝にて発表された全作品になります。




  蛇足
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鈴木まなみ

最近のビジネス界の旬なキーワードの1つに「オープンイノベーション」というものがあります。企業内部と外部のアイデアを組み合わせることで革新的で新しい価値を創り出す、という企業活動を指す言葉です。Mashup Awardsは一つのオープンイノベーションと言えます。
自社のビジネスや技術を第三者に利用可能な状態(オープンな状態)にする、「API」を公開している企業が複数参加することで成り立っているからです。企業は自社APIを、いろいろなエンジニアに「第三者の視点」で利用してもらう場としてMashup Awardsを活用しています。

Mashup Awardsの特徴の一つは、企業とエンジニアが対等な立場で接する雰囲気です。例えば、夜を徹して行われるハッカソン。深夜から早朝まで、参加者に寄り添い、無理難題のような質問にもできるだけ答えようとする企業担当者の姿があります。そして、参加者が受賞をすると企業の担当者も一緒に喜ぶ。参加者が作りたいものを二人三脚で取り組む。そんな共創がオープンイノベーションには必要なのだと私は思います。
 
そんなMashupAwardsの実施しているイベントの雰囲気を象徴するような決勝だったかと思います。