project tango

米Bloomberg通信によると、Googleは5月18日に開催が予定されている開発者向け年次総会Google I/Oで、3Dセンサーで空間をデータ化する大型プロジェクトを発表するという。「世界中の情報を整理する」がGoogleの社是。ネット上の情報を整理したあとは、リアル空間の情報を整理しようとしているようだ。

記事によると、Project Tangoという名称で2年前に開発者向けに発表されていたプロジェクトが、いよいよ年内に商用化されるもよう。年次総会ではその詳細が明らかになるという。

Project Tangoは小型の3Dセンサーをスマートフォンやタブレット端末に搭載するプロジェクトで、スマホやタブレットのカメラを物体に向けると、その物体の縦、横、奥行きの長さが正確に計測できるというもの。

正確に計測できると何がすごいのか。

まずは、リアルな風景の中に架空の物体を正確に貼り付けることができるようになる。

例えば家具屋で見つけた家具をその場で3Dスキャンし、自宅の部屋の3Dスキャンデータに貼り付けることで、その家具が部屋におさまるのかどうか、部屋においた場合どのような雰囲気になるのかが、その場で分かるようになる。

また部屋の中にゲームキャラクターを登場させ、自分の部屋を舞台にしたゲームを楽しめるようにもなる。

ほかにも遠隔地のテレビ電話の相手の姿を、自分の部屋の風景に組み合わせることで、相手がその場にいるような感じでテレビ電話を楽しむことができるようになるかもしれない。

Bloombergの記事によると、ある開発者はTangoの技術を使って、目の不自由な人向けのシステムを開発した。障害物が近づくと背中に背負ったバイブレーターが振動し、障害物との距離を教えてくれるという。

このほかにも用途はいくらでもあるはず。

何世紀か前に機械仕掛けの時計が広く普及したことで、われわれの生活は一変した。ほとんどの人が同じ基準で時間を刻むようになったことで、ほかの人と時間を合わせた共同作業が可能になった。時間を刻む技術がなければ、今日の公共交通機関もテレビ、ラジオ放送も存在しえなかったことだろう。

同様に空間を刻む技術が今、確立しようとしている。われわれが想像しえないような用途が今後、登場するに違いない。

今回の発表の中で個人的に注目しているのが、データの共有プラットフォーム。同通信の記事によると、Googleはスマホで計測した3Dデータをネット上で共有するプラットフォームの構築を計画しているもよう。

世界中の人たちが自分の身の回りの建造物や地下街の3Dデータを取得しネット上で共有するようになれば、データを組み合わせることで街全体の空間が刻まれ、最後には地球全体の空間が刻まれることになるかもしれない。

そのときにはどのようなアプリケーションが開発可能になるのだろうか。

ワクワクが止まらない。

18日の発表が楽しみだ。

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