過去150年間はマスメディアマーケティングの時代だったと言われる。それが過去10年間くらいはインターネットの利用が広がり、ネットを使ったマーケティングにも力が注がれるようになった。過去10年くらいのマーケティングは、ターゲットマーケティング、クロス・マーケティングなどというキーワードで象徴されることが多かった。日本では今も、そうしたキーワードが主流だ。



 ところが昨年ごろからUSではソーシャルメディアマーケティングというキーワードが頻繁に使われるようになってきた。



 調べてみると、コンセプトがこれまでのマスメディアマーケティングやターゲットマーケティングとはかなり異なっている。これまでのマーケティングがメッセージを伝えることを主な目的にしていたのに対し、ソーシャルメディアマーケティングは顧客の声を聞き、顧客との関係を強化することを主な目的にしている。これまでのマーケティングがマーケティング部署という1つの部署の仕事であったのに対し、ソーシャルメディアマーケティングは経営トップを中心とした全社的な取り組みの色彩がより濃くなっている。



 TechWaveでは、こうした時代の大きな変化を察知し、新しく発生した情報ニーズに対応するために、オカッパ本田を中心にソーシャルメディアマーケティングのコンサルタント養成講座開設の準備を進めているのだが、それよりも早く小川浩さん、小川和也さんによる書籍「ソーシャルメディアマーケティング」がソフトバンククリエイティブから出たわけだ。



 なぜ今、ソーシャルメディアマーケティングなのか。この本の中では次のように述べている。



 理解しておかなければならないのは、ソーシャルメディアとは、インターネットを介して世界中に広がる「社会的な会話」の場であるということだ。つまり、あなたがそこにいようがいまいが、人々はあなたのブランドについて語っているかもしれないし、あなたのライバル企業を礼賛しているかもしれないという事実は、もはや変えられない。あなたがいないところで、あなたのブランドを批評している人たちが存在する。あなたはそれを聞きたくないのか。聞きたくないとしたら、あなたはマーケターではない。




 小川浩さんと言えばミスターweb2.0と呼ばれることもあるように、web2.0に関する本を日本でだれよりも早く本にした人物だ。時代の流れをだれよりも早く察知し、概念をまとめ上げる能力に関しては、日本有数だと思う。



 この「時代の流れをだれよりも早く察知し、概念をまとめ上げる」という仕事は、実は僕の仕事の中核をなしている。僕の生業だ。この仕事に関しては、小川さんは僕の競合になるわけだ。しかもこちらは本業、小川さんはサイドビジネスである。ひょっとすると小川さんは本の執筆を趣味ととらえているのかもしれない。ところが本業の僕のほうが毎回負けているわけだ。やれやれ。