米AppleがiPhoneアプリの開発者向けサイト内で、ローカル広告を表示するためだけにユーザーの位置情報取得機能を搭載するアプリを認可しない、と表明したことが話題を読んでいる。GPSなどを使ってユーザーの現在地を把握し周辺店舗などの広告を表示するローカル広告は、GPS搭載のスマートフォンが急速に普及したため最も注目を集めている広告領域の1つ。他社のローカル広告を排除しApple自体がローカル広告配信の仕組み作りに乗り出すのではないか、という憶測が出ている。日本は世界に先駆けてGPS搭載ケータイが広く普及したことから、モバイル機器を使ったローカル情報サービスに関しては世界でも最も進んでいるといわれる。ローカル広告の仕組みに関しても、日本のベンチャーのシリウステクノロジーズが特許を取得、米国にも進出しているが、こうした動きにも影響を与えそうだ。


意味不明の通達



 開発者向けサイトiPhone Dev Centerに挙げられた位置情報サービスに関する一文には次のような但し書きが加えられている。



If you build your application with features based on a user's location, make sure these features provide beneficial information. If your app uses location-based information primarily to enable mobile advertisers to deliver targeted ads based on a user's location, your app will be returned to you by the App Store Review Team for modification before it can be posted to the App Store.



もしユーザーのロケーションをベースにした機能を持つアプリを開発するのなら、その機能が価値ある情報を提供できるようにしてください。もしロケーションをベースにしたターゲット広告を配信するのを主な理由にロケーション情報を取得するのであれば、App Storeレビューチームは、修正を求めてアプリを差し戻します。





 価値ある情報とはなんなのか。ロケーションでターゲットされた広告には、価値がないのだろうか。広告がすべて邪魔なものとは限らない。Appleの趣旨が今一つ不明な一文だ。





 ただAppleは自社が運営するサービス、もしくは今後スタートするサービスと競合するようなアプリを提出しても認可されない、というような話をiPhoneアプリの開発者から聞いたことがある。今回もそのケースなのかもしれない。



 この問題を報じている米ReadWriteWebも、Apple自体がロケーション広告に乗り出したいのではないかという批判の声があがっていることを紹介している。



Some people immediately accused Apple of implementing this policy so that it alone could use location-based advertisements on the platform.






 パソコン向けのネット広告の市場では、Googleが成功し、Appleは出る幕がなかった。一方、米国のモバイル向け広告市場は、本格的に立ち上がったばかり。Googleがモバイル広告ベンチャーを買収した直後にAppleもモバイル広告ベンチャーを買収するなど、Appleも広告事業に乗り出した。スティーブ・ジョブズ氏は、Googleに対抗意識を燃やしていると伝えられることから、今後モバイル広告の領域で両社が激しく競争することになりそうだ。 



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