The Economic Timesによると、英DataWind社製格安7インチAndroidタブレット「Aakash」がインド国内で発売後2週間で140万台の受注記録を達成した。AppleのiPadの売上台数が100万台を超えたのが発売後28日目だったことから考えても、Aakashの売れ行きが驚異的であることが分かる。



 発売元の英DataWind社によると、Aakash(アーカシュと発音)は、Android2.2、366MHZのArm11プロセッサ搭載で、2500ルビー(約3600円)という破格の価格。



 英語版wikipediaによると、Aakashはもともとインド政府による大学配布プロジェクトとして、英DataWind社がインドのIndian Institute of Technology Rajasthanと共同開発した。Mumbai大学は既に来年度から市販の約半額で学生向けに販売すると発表している。



 一般向けAakashは、12月25日にオンラインで発売開始したところ、わずか1週間で初期ロットを完売。Android2.3搭載の次期バージョンの注文も受け付けたところ、同社のウェブサイトによると今日現在で1月配送分、2月配送分ともに売り切れており、予約注文しても商品受け取りは3月以降になるという。



 The Economic Timesによると、取材に対し、DataWind社は発売2週間で140万台の売り上げを記録したことを明らかにしたという。この人気を受けDataWind社では、インド国内の委託製造業者を新しく2社追加し、春から3社体制で一日7万台から7万5000台のペースで製造する計画という。



 これだけ低価格でタブレットを製造できる理由についてCNBCの取材に対しDataWind社のCEO、Suneet Singh Tuli氏は、「1つは、コンピューティングをクラウド上にシフトしたことで、低価格のプロセッサでも十分に動作するようにしたから。2つ目は、低価格の部品を探してきて自分たちでモジュールを開発しているから」と答えている。
蛇足:オレはこう思う



 わずか3600円ー。大量生産によるコスト削減も、この破格の価格を実現している要因の1つだろう。人口12億人の巨大国家のなせるわざ、ということか。DataWind社って本社が英国なんだけど、CEOってインドの人みたいだし、メーカーはインドの製造業者に委託しているので、インド人がインドで開発したAndroidタブレットって考えてもいいのかも。長年の欧米企業のオフショア事業を通じて、インド企業の技術力が世界トップクラスになっているということなんだろうと思う。



 しかもインドでは無線LANスポットがあちらこちらにできてきているというし、このペースで普及していけば、あと半年から1年後にはインドの人口のかなりの割合がパソコンではなく、タブレットでインターネットにアクセスするようになるだろう。人口の1割がタブレットを保有したとしても1億台。驚異的な市場だ。



 当然、そのハード上でのアプリの市場も急速に拡大するだろう。アプリ市場のけん引役は、そう遠くない将来に米国からインドに代わるのではないだろうか。



 途上国には、縦割り行政の問題や、放送法、通信法などといった既存の法制度といったしがらみも少ない。最新のテクノロジーに合った利用法を促進するような法制度がこれから作られていく。先進国が、過去のしがらみでがんじがらめになっているときに、優秀な人材と巨大な市場を持った途上国が、ITの新しい利用方法をどんどん開発していくのではないだろうか。特にタブレットが今後、どのように進化していくのか非常に興味深い。パソコン全盛時代の名残りに浸る先進国とは、まったく異なるITの世界がアジアの途上国を中心に広がっていくのだと思う。国民のITリテラシーも向上するだろうし、急速に最先端IT国家化が進むような気がする。



 明日を知るためには、アジアの途上国を見るべき。特に人口、技術力、グローバル性の観点から、インドに注目すべきだと思う。日本の内需は急速に縮小していく。日本にとどまることのリスクのほうが大きいのだから。



 できるだけ多くの人に、アジアの途上国が拓く未来を見てもらいたいと思って「TechWaveと行くインドツアー」を企画した。ぜひ、明日のネットビジネスの姿を見に、一緒にインドに行きましょう!



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