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 僕自身、TechWaveを社会の変化の進捗具合を実際に調べる実験台のように使っているところがあるのだが、実際におもしろい変化に気づいたのでご紹介したい。と同時に読者のみなさんは、この変化をどうとらえるのか、ご意見をいただきたいと思う。



 大前提として、われわれは次のような大きな変化の中にいると言われている。



 これまでの情報の流れは一方通行だった。マスコミから消費者、大手ポータルからネットユーザー、という一方通行だ。それがソーシャルメディアの普及で、ユーザー間の横のつながりで情報が流れるようになる。その結果、人を共感させる情報しか流れなくなる。企業は、愚直に、真摯に、消費者とつきあわざるを得なくなる。




 ただこれはあくまでも仮説。最近はこのような考え方を主張する人が増えてきているものの、この仮説に懐疑的な人もいるし、腹落ちしていない人も多いと思う。これから変化の進捗を見てから、この仮説が正しいのかどうかを判断したい、という人も多いことだろう。



 その変化の兆しを示すような例をTechWave上に見つけたので共有したい。




 TechWaveの各記事にはFacebook、Twitter、LinkedIn、Google+の4つのソーシャルメディアの共有ボタンをフィーチャーしてつけてあるのだが、中でもFacebookのボタンとTwitterのボタンをクリックする人が多い。記事の内容によってはどちらか一方が微妙に多かったりするのだが、それでもだいたいは同じようなクリック数になる。



 ところがクリック数が大きく異なる記事がある。最近の記事では、ソーシャルで「好き」を「仕事」にする方法 勝屋久氏【湯川】という記事。この原稿を書いている時点で、Facebookのシェア数が776件、TwitterのRT数が111件。Facebook上でのシェアが7倍もある。





 一方で約3600円の格安7インチAndroidタブレット、インドで爆発的セールスを記録 タブレットは世界をどう変えるか【湯川】という記事は、Facebookのシェア数が208件、TwitterのRT数が1023件。TwitterのRTが5倍もある。



 この違いはどこからくるのだろう。読者のみなさんは、この違いをどう分析されますか?



 僕なりの仮説というか、分析は以下の通り。



 まずFacebookとTwitterのユーザー層や、ソーシャルメディアとしての性質の違いがあると思う。Facebookは、完全実名制だし、リアルな社会での人間関係をオンラインに持ち込んだ形のソーシャルメディア。一方でTwitterは、ニックネームなどでの登録も可能だし、見ず知らずの人とつながることも多い。業界用語で言うと、Facebookはリアル・ソーシャルグラフが中心で、Twitterはバーチャル・ソーシャルグラフも混じっている、ということになる。



 次に2つの記事の内容の違いがある。「ソーシャル」で「好き」・・・の記事は、人との絆を通じて自分が社会に提供できる価値を磨くことで豊かな人生を送ることができるという勝屋久さんの主張を取り上げている。コメント欄などを見ると、勝屋さんの主張に共感した人、感銘を受けた人が多そうだ。



 一方の約3600円の格安7インチ・・・の記事のほうは、タイトルがまずキャッチーである。3600円のAndroidタブレットというだけで、だれかに伝えたくなるような話だ。実際には、低価格デバイスが広く普及することで社会のITリテラシーが向上し、社会変化をうながす可能性があることまで指摘している記事なのだが、Twitterのコメントを見るとその部分に触れているものは少なく、激安デバイスという点が注目を集めたようだ。



 このようなソーシャルメディアの性質の違いと、記事の内容の違いからFacebookのシェア数、TwitterのRT数に違いが出た。つまり次のようなことが言えるのではないかと思う。



1.実際の人間関係をベースにした情報の流れの中では、ネタ的な情報よりも、共感、感動をベースにした情報のほうが流れやすい。



2.実際の人間関係(リアル・ソーシャルグラフ)は今後、ますますオンライン上に乗ってくる、と考えられる。そうなればネタ的な情報よりも、共感、感動をベースにした情報でなければ、伝播しにくくなる。



3.企業は、ネタ的な情報を流すのではなく、共感、感動をベースにした情報を流さなければならなくなり、そのためには、愚直に、真摯に、社会に価値を提供することを第一に考えるような企業にならなければいけない。



 つまり最初の仮説を裏付けるような状況が見え始めたように思う。



 どう思いますか?