募集を打ち切りました。満員御礼!

世の中が進む方向が見えているのに、世間一般の「古い感情」が進化を拒むことがある。社会を先に進めたい人にとっては悩ましい問題だが、これは見方を変えれば大きなビジネスチャンスである。なぜなら変化の大きな流れには抗い難く、早くから変化に備えている者には大きなリターンが約束されているからだ。

僕が今、大きな社会変化の流れと感じているのは、「データ経済社会」への流れだ。 20世紀には金融が「経済の血液」だったのが、21世紀にはデータが「社会の血液」になると言われている。IoTやウエアラブルデバイスが生成する膨大な数のデータは人工知能によって解析され、生活や社会のリアルタイムの状況をつぶさに現すようになり、迅速で的確な対処が可能になる。

Apple Watchだけでも300万人の心拍数を始めとするデータを収集できている。こうした生体、健康、医療、実験データが連携して、病気のメカニズムが次々と解明されていくと言われている。一人ひとりの体質に合った健康法、睡眠法、ダイエットなどが提案されるようになり、健康な人が増えてくるだろう。もしウエアラブルデバイスが心臓発作が起こる4時間前に警告を出すことができれば、そのウエアラブルデバイスは飛ぶように売れることだろう。

また経済学や社会学、心理学なども、これまでとは比較にならないほど大量データをもとに理論が構築されて、大きく進歩することになるだろう。

社会の現状もリアルタイムに正確に把握できるようになり、その結果、政治が大きく変わるかもしれない。世の中はデータをベースにして理解されるようになり、データを活用できるものには大きな成功が約束されるだろう。

医療よりも予防医療が盛んになり、環境問題も改善されるかもしれない。経済が効率よく回るようになれば、日本経済が再生するかもしれない、とも言われている。

一方でその社会変化を拒んできたのは、データ漏えいやプライバシー侵害を恐れる感情だ。もちろん、万全のセキュリティ対策は大事である。それは議論の余地のない当然の話である。消費者の銀行預金を守らるのが大事なことと同じだ。しかしそれよりももっと大事なことは、消費者から集めた預金の有効利用である。資金を必要としている企業にその預金を循環させ、経済を発展させることである。そのための銀行預金なのだ。

データも同様である。GoogleやAmazonといった米国のネット企業が成功したのは、データを活用することで検索の精度を上げ、レコメンデーションの精度を上げたからである。IoT時代に入れば、ネット企業だけではなく、あらゆる企業にとってデータを利活用できるかどうかが、命運を分ける鍵になるなるといわれている。

このことに多くの人が気づき始めた。セキュリティ問題を理由に、データの有効活用に頭ごなしに反対する機運もおさまりつつあるようだ。経済産業省も「データ駆動型イノベーション」と銘打って、データが流通する仕組みを構築することで、日本経済の再生を図ろうとしている。

またそうした社会を実現するための技術やインフラも整い始めた。データを集めるためのIoTデバイスやウエアラブルデバイスの普及も始まったし、集めたデータを解析する人工知能技術も急速に進化し始めた。

時代は、明らかにデータ経済社会に向かい始めた。

問題はどのようなシナリオで、データ経済社会に向かうのかということだ。



「2歩先の未来を読む」がモットーの少人数制勉強会TheWave湯川塾では、第29期のテーマを「データ経済社会へのシナリオを読む」と題して以下の要領で開催することにしました。正式に募集を始めます。 【開催日時予定】(講師の都合により日程が変更になる可能性があります)

9/14(月)19:30~ 湯川鶴章
9/24(木)19:30~ 東京大学・大澤幸生教授
9/28(月)19:30~ リクルートキャリア・鹿内学氏
10/5(月)19:30~ 米EverySense社・真野浩CEO
10/13(火)19:30~ 東京大学・橋田浩一教授
10/19(月)19:30~ 湯川鶴章

講義は2時間。うち1時間で講師にお話をいただき、残りの1時間で議論します。また終了後、場所を変えて懇親会を開催します。カジュアルな雰囲気の中でさらに議論が深まり、さらなるオフレコ情報が飛び出すことがあります。懇親会は基本的に自由参加ですが、こうした理由から積極的なご参加を強くお勧めします。


【今期のカリキュラムについて】
初回は、私、湯川鶴章が講義を受け持ちます。データ経済社会こそが日本再生の道であるという認識が深まる中で、経済産業省を中心にどのような取り組みが行われているのか、その結果、現状はどこまで進んでいるのか、などといったことを、これまでの取材の結果を踏まえてお話します。

第2回は、東京大学の大澤幸生教授に講義をお願いしました。同教授は、企業、組織などが持つデータを交換するために、データの概要だけを記述した「データジャケット」と呼ばれるメタデータを作成する仕組みを考案されました。データジャケットは経済産業省関連のデータ交換の仕組みなどに利用されるなど、日本のデータ交換のデファクトスタンダードになる可能性があります。大澤教授には、データジャケットのことのみならず、データ共有社会の未来についてお話をうかがいたいと思います。特にデータに振り回される社会ではなく、「社会をよくしたい」という人間の思いが牽引する新しい社会の形について、お話していただきたいと思っています。

第3回は、リクルート・キャリアの鹿内学氏に講義をお願いしました。鹿内氏は、2005年から10年間にわたり奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)や京都大学で認知神経科学(脳科学)の研究されてきました。特に実験からデータ解析まで一貫して取り組んでこられた経験を基に、データを作り出すプロセスの解説や、今後価値を持つデータにはどのようなものがあるのかといった現場寄りのお話をしていただく予定です。また個人データの取り扱いに関する議論や、データを活用したビジネスチャンスについても、議論したいと思います。

第4回は、米EverySense社のCEO、真野浩氏にお願いしました。データを生み出す人や会社と、データを利用したい人や会社を結ぶ中立的なマーケットプレイスを構築しようという会社です。取材を通じて未発表のプロジェクトに関してもお話をうかがいましたが、この領域では世界的に見ても今のところ最も動きの早い会社だと思われます。

第5回は、東京大学の橋田浩一教授に講義をお願いしました。個人に関する情報やデータは、個人に帰属すべき。だれに提供するのか、どういう利用方法を認めるのかも、個人が決める権限を持つべき。この考え方は、パーソナル・データ・ストア(PDS)と呼ばれ、以前から議論されてきましたが、技術の進歩と普及で、いよいよ実現可能になりつつあります。日本におけるPDS研究の第一人者が、橋田教授です。セキュリティ問題を解決するためにも、PDSは有効な手法だと考えられています。

第6回は、5回の講義をベースにした最終議論の場になります。


【関連情報】
各講師に関する関連情報を、ここに追加していきたいと思います。

橋田教授とPDSに関しては、21世紀はデータが経済の「血液」になる 個人データは自分で管理という記事にまとめました。

ほかの講師に関しても取材を終えましたので、順次記事化し発表していきたいと思います。


【情報の取り扱いについて】
少人数のカジュアルな雰囲気のためオフレコ情報が多数飛び交います。ソーシャルメディアなど公の場での情報共有は基本的に禁止といたします。


【場所】
渋谷のコワーキングスペースco-ba6階ライブラリー








【オンライン受講について】
会場に来れない方のために、テレビ会議システムを使ってリアルタイムでのオンライン受講が可能な体制を取っています。ほぼ完璧な受講メモも用意しています。ただしネット回線の混雑などの理由で、快適な受講環境を提供できない場合があります。急な出張が入った場合や、地方からどうしても参加したいという方のために体制だけは整えましたが、TheWave湯川塾の醍醐味は、最先端の講師と膝を突き合わせて議論するところにあります。なるべくリアルに参加されることをおすすめします。


【受講料】
法人枠 20万円(税別)
お一人さまのみの参加となりますが、その方が出席できない回については、同じ会社の別の方の代理出席が可能です。領収書の宛先が法人の場合は、法人枠となります。ご了承ください。

個人枠 15万円(税別)
個人として参加される場合は、3回、5回の分割払いも可能です。ご相談ください。



【定員】
10名


【対象者:以下のような方を念頭にカリキュラムを組みました】

・企業経営者
・経営企画担当者
・起業志望者
・投資家


人工知能などの技術に対する事前知識がない方でも議論に参加していただけるよう、ITジャーナリストの湯川鶴章がやさしく解説しながら講義を進めていきます。そこが、ITジャーナリストが主催する勉強会の強みだと考えています。


【申し込み】
お申込みは下のフォーム。もしくは、こちら