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Amazon.com、Apple、Googleなどが電子書籍配信プラットフォームを構築し日本展開を準備する中で、日本独自の配信プラットフォームを作ろうという動きが家電メーカーや業界団体の間で盛んになっている。このため業界関係者などからプラットフォーム間の競争の行方について意見を求められることが増えてきた。「米国勢が日本の出版業界を牛耳ることになるのですか?」「いやいや、著者は出版社が押さえているので、海外勢に勝ち目がないのでは」などという質問や意見に対してコメントを求められるわけだ。
せっかく訪ねてきてくれる方々には申し訳ないのだが、わたしはこうした分野にはほとんど関心がない。というのは、既に確立し検証されたビジネスモデルをベースにしたシェア争いが盛んなころには、その1つ上のレイヤーで次の戦いが既に始まっており、そこの戦いこそがこれからの経済、社会に大きな影響を与えることが多いと思うからだ。
Amazon.com、Apple、Googleなどが電子書籍配信プラットフォームを構築し日本展開を準備する中で、日本独自の配信プラットフォームを作ろうという動きが家電メーカーや業界団体の間で盛んになっている。このため業界関係者などからプラットフォーム間の競争の行方について意見を求められることが増えてきた。「米国勢が日本の出版業界を牛耳ることになるのですか?」「いやいや、著者は出版社が押さえているので、海外勢に勝ち目がないのでは」などという質問や意見に対してコメントを求められるわけだ。
せっかく訪ねてきてくれる方々には申し訳ないのだが、わたしはこうした分野にはほとんど関心がない。というのは、既に確立し検証されたビジネスモデルをベースにしたシェア争いが盛んなころには、その1つ上のレイヤーで次の戦いが既に始まっており、そこの戦いこそがこれからの経済、社会に大きな影響を与えることが多いと思うからだ。
ネットの商業利用が始まって間もないころは、プロバイダー間のシェア争いに注目が集まった。しかしその真っ最中にネットスケープの前身であるモザイクというブラウザーが登場し、次の時代を切り開こうとしていた。
そしてそのネットスケープとインターネットエクスプローラーがシェア争いを繰り広げるようになると、今度はYahoo!が登場し、ブラウザー間の競争を無意味なものにした。
またYahoo!に追いつけ追い越せと複数のポータル事業者が競争を繰り広げるころになれば、今度はGoogleが登場し大きな影響力を持つようになった。
そのGoogleを負かそうとMicrosoftがBingを開発しシェア争い仕掛ける中で、Facebookが登場し影響力を持ち始めている。
つまりビジネスモデルが確立しシェア争いが始まるころには、次のビジネスモデルが登場している。これがこれまでのインターネットの歴史である。
同様に電子書籍の配信プラットフォームは既に確立している。確立させたのはAmazonである。ビジネスとして成立することも検証済みだ。そのビジネスモデルにApple、Google、そして日本勢までもが参入しようとしているわけだ。
戦いの行方はどうなるのか。
そう問われても、よりよいサービスを提供したところが勝つ、としか言いようがない。
ビジネスモデルは確立、検証済みだから、あとはちょっとした使い勝手などで差別化を図るしかない。値段や、見せ方、ちょっとした追加機能などで、消費者の支持を得るための激しい競争が今後繰り広げるだろう。どこかが急にシェアを伸ばすこともなく、地道にシェア拡大に努めるしかない。シェア争いは決して楽ではなく、収益性も高くない。そしてAmazonが勝とうと日本勢が勝とうと、消費者にとって大きな違いはないだろう。
もし日本の出版業界をなんとかしたい、と思うのなら、高収益が望めない配信プラットフォームに全力を投入するのではなく、その上のレイヤーを狙うべきだと思う。
その上のレイヤーとは何なのだろうか。
答えは簡単だ。ソーシャルのレイヤーである。リアルな人間関係を軸にしたソーシャルインフラが欧米を中心に確立しつつある。本当の友人関係をベースにしたソーシャルインフラが日本に構築される日も、そう遠くないだろう。これをベースにした読書体験、執筆体験を可能にするような仕組みを作ればいいのだ。コミュニケーションとしての執筆、コミュニケーションとしての読書を提案するような仕組みだ。ソーシャル書籍である。
そしてソーシャルゲームがゲーム業界を激変させたように、ソーシャル書籍は出版業界を激変させることだろう。
ソーシャル書籍とはどのようなものになるのだろうか。その原型は既に日本にある。いや日本にしかない。
ケータイ小説である。ケータイ小説こそがコミュニケーションとしての執筆、コミュニケーションとしての読書の原型である。
ケータイ小説をヒントに、新しいソーシャル書籍の形を世界に提案するほうが、電子書籍プラットフォームの競争に明け暮れるよりもよほど意義がある。そう思うのだが、どうだろうか。
そしてそのネットスケープとインターネットエクスプローラーがシェア争いを繰り広げるようになると、今度はYahoo!が登場し、ブラウザー間の競争を無意味なものにした。
またYahoo!に追いつけ追い越せと複数のポータル事業者が競争を繰り広げるころになれば、今度はGoogleが登場し大きな影響力を持つようになった。
そのGoogleを負かそうとMicrosoftがBingを開発しシェア争い仕掛ける中で、Facebookが登場し影響力を持ち始めている。
つまりビジネスモデルが確立しシェア争いが始まるころには、次のビジネスモデルが登場している。これがこれまでのインターネットの歴史である。
同様に電子書籍の配信プラットフォームは既に確立している。確立させたのはAmazonである。ビジネスとして成立することも検証済みだ。そのビジネスモデルにApple、Google、そして日本勢までもが参入しようとしているわけだ。
戦いの行方はどうなるのか。
そう問われても、よりよいサービスを提供したところが勝つ、としか言いようがない。
ビジネスモデルは確立、検証済みだから、あとはちょっとした使い勝手などで差別化を図るしかない。値段や、見せ方、ちょっとした追加機能などで、消費者の支持を得るための激しい競争が今後繰り広げるだろう。どこかが急にシェアを伸ばすこともなく、地道にシェア拡大に努めるしかない。シェア争いは決して楽ではなく、収益性も高くない。そしてAmazonが勝とうと日本勢が勝とうと、消費者にとって大きな違いはないだろう。
もし日本の出版業界をなんとかしたい、と思うのなら、高収益が望めない配信プラットフォームに全力を投入するのではなく、その上のレイヤーを狙うべきだと思う。
その上のレイヤーとは何なのだろうか。
答えは簡単だ。ソーシャルのレイヤーである。リアルな人間関係を軸にしたソーシャルインフラが欧米を中心に確立しつつある。本当の友人関係をベースにしたソーシャルインフラが日本に構築される日も、そう遠くないだろう。これをベースにした読書体験、執筆体験を可能にするような仕組みを作ればいいのだ。コミュニケーションとしての執筆、コミュニケーションとしての読書を提案するような仕組みだ。ソーシャル書籍である。
そしてソーシャルゲームがゲーム業界を激変させたように、ソーシャル書籍は出版業界を激変させることだろう。
ソーシャル書籍とはどのようなものになるのだろうか。その原型は既に日本にある。いや日本にしかない。
ケータイ小説である。ケータイ小説こそがコミュニケーションとしての執筆、コミュニケーションとしての読書の原型である。
ケータイ小説をヒントに、新しいソーシャル書籍の形を世界に提案するほうが、電子書籍プラットフォームの競争に明け暮れるよりもよほど意義がある。そう思うのだが、どうだろうか。